車両を軽量化すればコストが下がる他、加速力が質量と関係あることから加速性能と高速性能のアップが見込める。1960年代になると各社ともアルミやステンレス等の試作を始め、国鉄でも関門トンネルや営業列車ではサロ153形やキハ35形等でステンレス車両を製造したが、地下鉄東西線への乗り入れは1966年にアルミ車体の301系を完成させた。301系では1両あたり5t程の軽量化が図られた他、台車を空気バネ仕様にして乗り心地を改善させている。アルミ構造の採用で103系と同一の性能でありながら問題点を解決できると判明したものの素材の価格が従来の普通鋼の6倍から7倍になったアルミ車両を大量生産するのは難しく地下鉄対応の301系ですら1971年の西船橋延伸用の増備車はコストが安い103系1200番台になってしまった。これは軽量化による顕著な効果があっても財政事情が悪い国鉄では1両でも多くの車両を同じ価格で製造したいという考えがあり、財政赤字が車両の改善にも影響が及んでいることが伺える。徹底したコスト削減(短期的コストの安さ)と「いくつかの欠点を度外視すれば大方の用途において必要性能を充足しうる」という103系の特性は旧弊化してもなお国鉄に増備を続行させる動機となったのである。

次へ

戻る

TOP